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用語解説(50音順)

『あ行』

RNA
タンパク質を合成するため情報として働く物質。mRNAは、DNA上の遺伝情報が転写されたものである。mRNAの量を検査することで、遺伝子の機能の異常を判定できる場合がある。
アミノ酸
タンパク質を構成する成分。遺伝子の塩基配列に従って合成される。遺伝子に変異が起こると、結果アミノ酸にも変化が生じる場合がある(アミノ酸置換)。
アレル(アリル)
一対の染色体上において、相対的に同じ位置にあるDNA領域のこと。そのDNA部分が遺伝子である場合は対立遺伝子と呼ぶこともある。

一塩基多型
遺伝子の多型の1つ。SNP(single nucleotide polymorphism)ともいう。遺伝子の塩基配列が1ヶ所だけ違っている状態をさす。
遺伝
親から子、または細胞から細胞へ、その次の世代に親の特徴(形質)が伝わる現象。遺伝子(DNA)がその橋渡し役を担っている。
遺伝カウンセリング
遺伝性疾患の患者やその親族、あるいは遺伝について不安や悩みをもつ患者を対象として、情報を提供し、また遺伝子診断を受けるべきか否か、どのような治療を選ぶかなどについて、自身で決めてもらうためのカウンセリングのこと。 また、受診した患者に対して、生活設計上の選択を自らの意志で決定し行動できるよう、適切な情報を提供し支援するなどのことも行う。
遺伝子
遺伝情報を担う単位(物質)のことをいう。遺伝子の本体はDNAと呼ばれる。
遺伝性腫瘍
親から子へといった、遺伝的な発症を示す腫瘍のこと。遺伝性腫瘍の多くは若年での発症、家系内での複数の罹患者が認められ、多重多発癌の発症などの特徴も示す。
遺伝性非ポリポーシス性大腸がん
HNPCC のこと。常染色体優性遺伝の形式をとる。この疾患では、平均して45歳ごろまでに、大腸内に同時にいくつものがんが発症したり、場合によっては別の場所にもがんを発症することがある。HNPCC患者の約5~6割に、MLH1・MSH2などの遺伝子の異常が見つかっている。
イリノテカン
肺がんや大腸がんなどの治療に用いられる抗がん剤の1つ。塩酸イリノテカン。
インフォームド・コンセント
病気と医療行為について、患者に対し十分な説明を行った上で得られる同意のこと。遺伝カウンセリングにおいては、患者に対し遺伝子診断の目的や方法、予想される効果や起こりえる諸問題について十分な説明を行い、インフォームド・コンセントを得ることが必要とされる。
イントロン(intron)
遺伝子の塩基配列上であっても、アミノ酸配列の情報にはならない部位のことをいう。

APC
家族性の大腸がんである家族性大腸腺腫症(FAP)の原因とされる遺伝子。この遺伝子に病的な変異がある場合、35歳までにほぼ100%の確率でFAPを発症するとされる。
FAP
家族性大腸腺腫症 (Familial Adenomatous Polyposis) のこと。常染色体優性遺伝の形式をとる。この疾患では、早ければ10代から、平均して20代後半から、大腸内に数百~数千個のポリープが発生し、最終的にはこれらのポリープのいずれかが、ほぼ100%がんになる。FAP患者のほとんどに、APCという遺伝子に変異が見つかる。
HNPCC
遺伝性非ポリポーシス性大腸がん(Hereditary Non-Polyposis Colorectal Cancer) のこと。常染色体優性遺伝の形式をとる。この疾患では、平均して45歳ごろまでに、大腸内に同時にいくつものがんが発症したり、場合によっては別の場所にもがんを発症することがある。HNPCC患者の約5~6割に、MLH1・MSH2などの遺伝子の異常が見つかっている。
MEN1
多発性内分泌腫瘍症1型の原因とされる遺伝子。この遺伝子に病的な変異がある場合、内分泌臓器で機能亢進(必要以上にホルモンを産生・分泌する状態)がおきたり、腫瘍ができたりする。
MLH1
遺伝性非ポリポーシス性大腸がん(HNPCC)の原因の一つとされる遺伝子。HNPCCの患者の約2~3割に、この遺伝子に変異が見つかる。この遺伝子に病的な変異があると、大腸がんのリスクが高まるとされる。
MSH2
遺伝性非ポリポーシス性大腸がん(HNPCC)の原因の一つとされる遺伝子。HNPCCの患者の約2~3割に、この遺伝子に変異が見つかる。この遺伝子に病的な変異があると、大腸がんのリスクが高まるとされる。
MSH6
遺伝性非ポリポーシス性大腸がん(HNPCC)の原因の一つとされる遺伝子。この遺伝子に病的な変異があると、大腸がんのリスクが高まるとされる。HNPCC患者においては、MLH1、MSH2遺伝子に次ぐ頻度でその変異が認められる。
MLPA
従来法では困難であった遺伝子の大規模欠失・増幅変異の検出に特化された、新しい遺伝子解析法。この手法を遺伝性(先天性)疾患の解析に用いることにより、今まで遺伝子変異が検出されなかった症例においても、新規の遺伝子変異が検出される場合がある。
MYH
家族性の大腸がんである家族性大腸腺腫症(FAP)の原因とされる遺伝子。一般的に、APC遺伝子変異によって発症するFAPは、常染色体優性遺伝の形式をとるとされるが、MYH遺伝子変異による発症は、常染色体劣性遺伝の形式をとるとされている。APC遺伝子に変異のみられないFAP患者の数%で、 MYH遺伝子に病的な変異が発見されている。
NAT2
N-アセチルトランスフェラーゼ(N-アセチル転移酵素)の1つ。イソニアジド(抗結核薬)などの薬物代謝に関わるとされる。この遺伝子に存在するいくつかの多型の影響で薬物の代謝能が劇的に変化するとされ、NAT2の代謝能が低下してしまう表現型では、重篤な副作用を引き起こす可能性があることも知られている。
SNP
Single Nucleotide Polymorphismの略。遺伝子の塩基配列が1ヶ所だけ異なっている状態(1塩基多型)のことをいう。この1ヶ所の変化によって、体内の酵素などの働きが微妙に変わることにより、病気への罹り安さや医薬品への反応が異なるとされている。
エクソン(exon)
遺伝子の塩基配列のうち、直接にアミノ酸配列の情報となる部位のことをいう。
塩基
DNAやRNAを構成する分子のこと。遺伝情報はもっぱらこの塩基の並び方で決定されている。「遺伝子変異」というのは、通常この塩基の変化のことを示す。
塩基配列直接解析法(シークエンシング)
遺伝子の塩基配列を決定すること。また、その手法。フルシークエンシングとは、ある特定の遺伝子の全ての塩基配列を決定することをいう。

『か行』

家族性腫瘍
同一家系内において多くの腫瘍発症者が見られる疾患。一つの遺伝子変異が原因になる場合のほか 、環境等との複数の要因による発癌の場合の両者が含まれる。
家族性大腸腺腫症
FAPともいわれる。常染色体優性遺伝の形式をとる。この疾患では、早ければ10代から、平均して20代後半から、大腸内に数百~数千個のポリープが発生し、最終的にはこれらのポリープのいずれかが、ほぼ100%がんになる。FAP患者のほとんどに、APCという遺伝子に変異が見つかる。
がん遺伝子
本来の機能を失って、異常な機能をもってしまうことにより、細胞のがん化を起こしてしまう遺伝子のこと。多くのがん遺伝子が、細胞の分裂などに関与する遺伝子である。
がん抑制遺伝子
この遺伝子が機能できなくなるような変異が生じると、細胞が癌化に陥るとされる。

欠失
染色体中または遺伝子中の一部が欠けてしまっていること。遺伝子が欠失すると、たいていは、その機能を失ってしまうとされる。

コントロール
検体の測定結果を判定する上で、指標にする対照のこと。遺伝子検査における変異の判定は、陰性と陽性双方のコントロールにおける結果との照合によって判定を行う。

『さ行』

サイレント変異
ある遺伝子が、変異を持つにもかかわらず、アミノ酸の配列には変化がなく見た目上、変化が現れない突然変異のこと。
三省指針
文部科学省、厚生労働省、経済産業省により策定された「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」。遺伝子解析研究における個人の遺伝情報保護を目的とした内容のガイドラインで、研究目的で遺伝子解析を行う際は、この指針を遵守することが共通の認識となっている。
散発性
遺伝性(家族性)の反意語で、ある病気の発生が、集団の関係に関わり無く発生する状態をいう。

CYP2C19
チトクロームP450酵素ファミリーの1つ。PPI(プロトンポンプインヒビター:抗胃潰瘍薬などに用いられる)などの薬物代謝に関わるとされる。この遺伝子に存在するいくつかの多型の影響で薬物の代謝能が劇的に変化するとされ、その結果、その治療効果が大きく異なる場合があることが知られている。
常染色体優性遺伝
親から受け継いだ遺伝子の片方が異常なだけで表だった変化が見られる遺伝形式のこと。ある人が、親のどちらかに遺伝子変異による発病が見られる場合、その人が同じ変異を受け継いでいる確率は50%となる。
常染色体劣性遺伝
両親それぞれから受け継いだ二つの遺伝子が、それぞれ異なった形質(体のかたちや、はたらき)を規定するとき、見かけ上、その一方のみが現れることになる。現れない方の形質は、両親からそれぞれ受け継いだ遺伝子の両方が、同じその形質を規定する場合にだけ現れる。この形質は劣性遺伝形式をとるという。この遺伝子が、X/Y染色体すなわち性染色体ではなく、1番から22番の常染色体にのっているとき常染色体劣性遺伝という。常染色体劣性遺伝型式の疾患においては、例えば、病因とならない遺伝子型をA、病因となる遺伝子型をaとすると、aaという組合せになった場合にのみ発症する。劣性遺伝の場合は、両親が発症していなくても、共に保因者(Aaの遺伝子型)であれば、子はAA, Aa(2通り)、aaの4通りのアレル(両親からそれぞれ受け継いだ遺伝子の対)のいずれかとなるので、aaとなる場合、すなわち25%の確率で子が発症する。それゆえ、近親婚においては劣性遺伝による疾患の発現確率が一般よりやや高くなる。
シングルサイト
遺伝子上の特定の一カ所の塩基。ある遺伝病の診断を行う場合、あらかじめ血縁者の変異の部位が明らかになっている場合は、その情報を元に同じ場所を調べるだけで、患者の病気へのかかりやすさが判定できる利点がある。
浸透率
ある病気の原因となる遺伝子の変異が認められた場合、どのくらいの割合で実際にその病気を発症させるかという比率のこと。

スクリーニング
目的の性質や形をもった特長(遺伝子の変異など)を多くの候補の中から選出する操作のこと。

生殖細胞系列変異
卵子または精子など配偶子の遺伝子に存在する突然変異などの変化のこと。この場合、個体は基本的に体のほとんどの細胞に同じ遺伝子の変化を持つことになる。

挿入
遺伝子に本来はないDNA(塩基)が入り込むこと。遺伝子に挿入が起こった場合はたいていフレームシフト変異などの突然変異が生じてしまい、その機能を失ってしまうとされる。

『た行』

体細胞変異
生殖細胞にならない体の一部を構成する細胞(体細胞)における突然変異のこと。体細胞における突然変異は、子孫に伝わらない(遺伝しない)とされる。
対側乳がん
最初片側の乳房のみに発症したがんが、もう一方の乳房にも発症すること。BRCA遺伝子検査が陽性の場合は、このリスクが高くなるという報告がある。
多因子遺伝性疾患
多数の遺伝子の異常の一つ一つが相乗効果的に作用することで生じる疾患のこと。
多発性内分泌腫瘍症Ⅰ型
MEN1ともいわれる。常染色体優性遺伝の形式をとる。主に内分泌臓器が冒される疾患で、MEN1の患者では、通常成人になってから内分泌臓器で機能亢進(必要以上にホルモンを産生・分泌する状態)がおきたり、腫瘍ができたりする。MEN1では、異なる時期で複数の異常があらわれてくることが多く、特に若年で病気があらわれた時はMEN1である可能性が高いといわれる。
多発性内分泌腫瘍症2型
MEN2ともいわれる。常染色体優性遺伝の形式をとる。主に内分泌臓器が冒される疾患で、MEN2の患者では、内分泌臓器で甲状腺や副腎、副甲状腺に腫瘍ができたり機能亢進(必要以上にホルモンを産生・分泌する状態)がおきたりする。MEN2では、ほぼ全例で甲状腺髄様癌を発症し、また、異なる時期で複数の異常があらわれてくることが多いとされる。 MEN2 は、その臨床症状から、さらに3つのタイプに分けられるとされる。
多型
DNA多型。遺伝的多型。Polymorphism。
遺伝子の塩基配列に個人差(違い)が見られる部分のこと。
単一遺伝子病
1種類の遺伝子の異常により生じる疾患のこと。

置換(一塩基置換)
遺伝子中のある一塩基が他の塩基に変わること。この結果、アミノ酸の変化を引き起こす場合とそうでない場合がある。

DNA
ほとんどすべての生物において、遺伝情報を担う物質のこと。遺伝子に変異が起こるということは、このDNAに変化が生じることをいう。

『な行』

『は行』

PMS2
遺伝性腫瘍の1つである「リンチ症候群(HNPCC)」の原因遺伝子の1つ。PMS2遺伝子のほかに、3種類の遺伝子(MLH1、MSH2、MSH6)が同定されている。これらの遺伝子のいずれかに変異を持っていると、大腸がん、子宮内膜がんをはじめ、関連腫瘍の発症リスクが一般集団よりも高くなることが分かっている。
BRCA1/BRCA2
遺伝性乳がん・卵巣がん症候群に関与している遺伝子として同定されている。この遺伝子に病的な変異が起こると、乳がんや卵巣がんを発症する可能性が高くなるとされる。
PCR
わずかなDNAから、目的とする特定のDNA部分を、数時間で数十万倍に増幅させる方法のこと。遺伝子診断においては、まず検体から回収したDNAから目的の遺伝子をPCRによって増幅することから始まる。
PCR-SSCP
PCRにより特定部位を増幅したDNAから、遺伝子変異を判別する方法の一つ。

ファーマコゲノミクス(Pharmacogenomics)
医薬品の効き方や副作用に関係する、遺伝子の多様性について調査する研究・学問のこと。
フレームシフト変異
遺伝子に挿入や欠失が生じた結果、塩基配列が3の倍数以外でずれてしまう変異のこと。この変異により、アミノ酸合成が停止してしまうことにより、正常なタンパク質が体内で作られなくなってしまう。

変異
遺伝子の塩基配列に、なんらかの原因で変化が生じること。変異が起こることで、その遺伝子の持つ機能が全く変化してしまうことがある。がんも細胞の遺伝子の変異により、細胞が本来の正常な機能を保てなくなって発生する。

保因者
病気の原因をもっていても発病していない人のこと。遺伝性疾患では、保因者の診断には遺伝子検査が有用な場合がある。
保因者診断
保因者(病気の原因をもっていても発病していない人)であるかどうかを調べる診断のこと。遺伝性疾患では、保因者の診断には遺伝子検査が有用な場合がある。
発端者
遺伝性疾患の疑いのある家系において、その症例発見のきっかけとなる発症者を指す。ある患者が、遺伝病の遺伝子診断を受けようという場合、家系内の発端者の有無、またその遺伝子変異を調べることが、患者の発症前リスク診断において重要であるとされる。
Polymorphism
遺伝子多型のこと。遺伝子多型とは、DNA塩基配列が変わっても、その遺伝子の働きにほとんど影響がないような遺伝子変化のことをいう。

『ま行』

マイクロサテライト
1~5塩基という短い配列が繰り返し反復された配列をいう。PCR法などにより簡単に検出されることから、がん細胞のゲノム不安定性の指標としても用いられる。

ミスマッチ修復遺伝子
遺伝子に生じた複製ミスを修復する酵素をつくる遺伝子のこと。この遺伝子に変異が生じ、がんに関連する遺伝子に複製ミスが生じると、発がんに至ることが知られている。

『や行』

優性遺伝
「常染色体優性遺伝」参照。
UDPグルクロン酸転移酵素
イリノテカンの代謝に必要な酵素の1つ。
UDPグルクロン酸転移酵素の遺伝子の中の一部分の違い(多型)は、イリノテカンの副作用の発現に関与していることが分かっている。

『ら行』

倫理委員会
医療行為および医学的研究行為が十分な倫理的配慮のもとに行われるために、広く審議検討され、慎重な実行決定の判断がなされることを目的として設置された委員会のこと。

劣性遺伝
「常染色体劣性遺伝」参照。
RET
多発性内分泌腫瘍症2型の原因とされる遺伝子。この遺伝子に病的な変異がある場合、内分泌臓器で機能亢進(必要以上にホルモンを産生・分泌する状態)がおきたり、腫瘍ができたりする。
連結可能匿名化
遺伝子検査において、個人の遺伝情報を保護するための手法。担当医師の元においてのみ、患者情報と遺伝子情報を結びつけられるが、検査会社などへ検査を依頼する際には、個人情報を一切記載せず、担当医師にしかわからない記号を付番してオーダーされる。したがって、医療機関外でのプライバシー保護ができ、尚且つ患者への検査結果のフィードバックが可能になる。
連結不可能匿名化
主に遺伝子研究で使用される検体において、個人の遺伝情報を保護するための手法。最初から無記名で採取した検体を不規則に並べたのちに記号化することで、誰のものであるかをわからなくしてしまう。研究者はもちろん、医師や患者本人にもわからないため、患者へ検査結果のフィードバックをすることはできなくなるが、個人の遺伝情報の漏洩の危険性はなくなる。

『わ行』

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