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MLPA解析例

遺伝子(exon)・染色体領域のコピー数解析例(MLPA法)

MLPA法は、シーケンスやFISHなどの従来法では検出が困難であった単一エクソンや染色体レベルにおける幅広いコピー数変化(欠失・重複)の検出に対応した手法です。その解析アプリケーションは一般的な疾患から希少疾患にまで多義にわたり、遺伝性乳がん・卵巣がん(P002 BRCA1, P045 BRCA2/CHECK2)や急性リンパ性白血病(P335 ALL-IKZF1)、デュシェンヌ/ベッカー型筋ジストロフィー(P034/P035 DMD)など数百のアプリケーションを取り揃えております。

P002kit (BRCA1)の使用例

遺伝性乳がんや卵巣がんの発症と関連している遺伝子としてBRCA1/2遺伝子が報告されており、これらの遺伝子のどちらかに、生まれつき病的変異があると、乳がんや卵巣がんを発症するリスクが高くなることが分かっています。P002(BRCA1)キットではBRCA1遺伝子を対象とし、エクソン単位で欠失・重複変異を検出します。

下図は、リファレンスサンプル(健常人)とBRCA1遺伝子エクソン7~12に欠失が生じたサンプルのフラグメント解析での泳動パターンを示しています
[ I:内部コントロール用プローブのピーク Ⅱ:BRCA1遺伝子の各エクソン用プローブのピーク]
(A)リファレンスサンプル(健常人)
(B)BRCA1遺伝子エクソン7~12の欠失サンプル(BRCA1 del-exon7~12)

↓:エクソン7~12の欠失を示す

フラグメント解析後、各プローブのピークデータを標準化し、対象サンプルとリファレンスサンプルのデータを比較することで相対シグナル値を算出し、コピー数解析を行います。

① Intra normalization(サンプル内標準化)
各キットのプローブにはコンスタントにピークが検出されるように設計されたリファレンスプローブが含まれています。1試料中のリファレンスプローブの蛍光シグナル値に対する、各ターゲットプローブの蛍光シグナル値の割合を求め、相対シグナル値とし、内部標準化します。※P002キット資料記載のBlock normalizationの場合です。キットごとに標準化の方法は異なります。

② Inter normalization(サンプル間標準化)
対象サンプルの相対シグナル値とリファレンスサンプルの相対シグナル値の比率 Ratio(DQ:Dosage Quotient)を算出し、サンプル間同士で標準化を行います。欠失のある部位に存在するプローブではこの比が減量(理論値=0.5)し、重複のある部位に存在するプローブではこの比が上昇(理論値=1.5)します(図①) Ratioの値をグラフに表し(図②)、欠失・重複を判断します。

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メチル化解析(MS-MLPA法)例

MS-MLPA®を代表するアプリケーションとして、 Prader-Willi症候群(以下 PWS)、Angelman症候群
(以下 AS)などのインプリンティング関連疾患におけるメチル化の検出用キット(ME028 PWS/AS)が挙げられます。また、腫瘍組織解析における腫瘍の進行、また化学療法薬への抵抗性などに関連する癌抑制遺伝子の転写制御に関わるメチル化を検出できるアプリケーションを多数用意しております。

ME028 kit (Prader Willi /Angelman syndrome)の使用例

PWSとASは、共に染色体15q11(UBE3A, SNRPN遺伝子を含む)の欠失、片親性ダイソミー、メチル化による遺伝情報の不活性化が原因とされる疾患ですが、この染色体異常の親起源の違いにより臨床症状が異なります(インプリンティング)。例えば、父親から欠失のある染色体を受け継いだ場合(または、父親由来の染色体がメチル化によって不活性化している場合)、また、第15番染色体が2本とも母親由来の片親性ダイソミーの状態になっている場合はPWSを発症します。

MS-MLPA®は、コピー数解析とメチル化解析を一度に行うことが可能であることから、欠失やメチル化異常が原因となる当該疾患に対して、 有効な手法であるといえます(Procter M. et. al Clin Chem 2006, Jul;52(7), 1276-83)。下図は、 ME028キットのUBE3A遺伝子やSNRPN遺伝子など、PWS/ASの責任領域にデザインされた48のプローブの内、8プローブを抜粋して、フラグメント解析した泳動パターンを示しています。上段はHhaⅠ処理なしでコピー数解析を、下段はHhaⅠ処理しメチル化解析を行ったグラフです。

プローブ番号 1 2 3 4
プローブ SNRPN遺伝子(HhaⅠサイトなし) UBE3A遺伝子(HhaⅠサイトなし) リファレンスプローブ(R) リファレンスプローブ(R)
5 6 7 8
SNRPN(メチル化解析用、HhaⅠサイトあり) リファレンスプローブ(R) 15q26(* HhaⅠサイトの内部コントロール) UBE3A遺伝子(HhaⅠサイトなし)
<SNRPN遺伝子(プローブ5)の結果解釈について>

ー PWS deletion ② / AS deletion ③ ー
HhaⅠ処理なしでコピー数解析を行った場合、リファレンス(健常人)(A)と比較して、プローブ5のピークの低下が見られ、欠失が認められる。(B)、(C) このサンプルをHhaⅠ処理し、メチル化解析を行うと、PWSの例では、このピークの高さに変化がないことから、片アレルがメチル化されていることが分かる。(G) 一方で、ASの例は、ピークが消失していることから、片アレルが脱メチル化していることが分かる。(H)

ー PWS disomy ④ / AS disomy ⑤ ー
HhaⅠ処理なしでコピー数解析を行った場合、リファレンス(健常人)(A)と 比較してもピークの変化は見られないが(D)、(E)、このサンプルをHhaⅠ処理し、メチル化解析を行うと、PWSの例では両アレルがメチル化されていることが分かる。(I) 一方で、ASの例はピークが消失していることから、両アレルが脱メチル化していることが分かる。(J)

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既知の変異・SNPsの検出例

既知の変異・SNPsを検出する代表的なアプリケーションとして神経膠細胞由来の腫瘍であるグリオーマを対象としたキット(P088 Oligodendroglioma 1p-19q loss , IDH1/ 2 point mutation)が挙げられます。また、メラノーマ(P419 E318K point mutation)や先天性血小板異常症(P432 R702C, S96L point mutation)などの疾患を対象としたアプリケーションも用意しています。

P088 kit (Oligodendroglioma 1p-19q)の使用例

P088キットではグリオーマのうち頻度の高いオリゴデンドログリオーマを対象としています。当該疾患において、1p19qが、共に欠失(Loss Of Heterozygosity:LOH)していれば化学療法や放射線治療の効果が高まる事が報告されており、予後因子として重要であることが分かっています(Cairncross G. et.al J Clin Oncol 2006, 25(8), 2707-14)。このキットでは、特異的に設計したMLPAプローブにより、1p19qの共欠失とグリオーマに高頻度に見られる既知の点変異4ヶ所【IDH1(R132H、 R132C)、IDH2(R172M 、R172K)】を同時に検出します。加えて、当該疾患においてコピー数異常が報告されているCDKN2A/2B遺伝子のコピー数変化(欠失/重複)もターゲットとしてプローブがデザインされています。

下図は上述した4つの点変異と1p, 19qの欠失が見られるサンプルをフラグメント解析した泳動ピークパターンを示しています。

※MLPA®キットの詳細なラインナップについては 試薬リストをご覧ください。キットリストは随時更新しております。
MLPA®キット、関連試薬リスト

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