本文へジャンプ

Cowden 症候群の遺伝子診断 PTEN遺伝子検査

Cowden症候群は多発性過誤腫症候群であり、乳房、甲状腺、および子宮内膜に良性ないし悪性腫瘍が生じるリスクが高い遺伝性疾患です。その他によく報告されている臨床的な特徴として、粘膜皮膚病変(顔面の外毛根鞘腫、乳頭腫性丘疹など)、巨頭症があります。消化管の過誤腫性ポリープが診断の契機となることがありますが、これらのポリープが悪性化する可能性は低いと言われています。
NCCN (National Comprehensive Cancer Network) Clinical Practice Guidelines in Oncology, Genetic/Familial High-Risk Assessment: Breast and Ovarian, version 2, 2017) では、国際Cowdenコンソーシアムにて提唱されている臨床診断基準 1)をもとに、PTEN遺伝子検査の検査基準を定めています。
PTEN遺伝子検査はCowden症候群の確定診断を行う唯一の方法です。

遺伝子検査の臨床的意義

発端者が遺伝子検査を行い病的変異が検出された場合にはCowden症候群と確定診断され、関連腫瘍のフォローアップなどCowden症候群に合った医学的管理が推奨されます。
また、発端者で病的変異が検出された家系では、血縁者の検査が可能になります。血縁者向け検査で発端者と同じ変異が検出された場合には、Cowden症候群で発症する可能性の高いがんのリスク管理のためにサーベイランスなどが行われます。

遺伝形式と浸透率

Cowden症候群は常染色体優性遺伝形式をとる遺伝性疾患です。PTEN遺伝子の病的変異は親から子へ性別に関わらずそれぞれ1/2(50%)の確率で受け継がれます。
孤発例と家族歴のある例の割合は明らかではありませんが、家族歴がない場合でも発端者でPTEN遺伝子の病的変異が検出された場合、その変異は1/2(50%)の確率で下の世代に受け継がれます。

頻度は200,000人に1人程度とされていますが、症状が多彩で、また臨床的徴候がわずかなことがあるため、臨床的に十分に認識されず診断がついていない場合もあると考えられています。
Cowden症候群では甲状腺の良性疾患が約70%で見られ2)、甲状腺がんの生涯リスクは3~10%と推定されています3),4)。女性では乳腺の良性疾患のリスクが高く、乳がんの生涯リスクは25~50%と推定されています5),6)。また子宮内膜がんのリスクが5~10%であり3),7)、子宮筋腫のリスクも高まるとされています。

参考文献
1) Eng C et al. J Med Genet 2000;37:828-830
2) Harach HR et al. Ann Diagn Pathol 1999;3:331-340
3) Pilarski R et al. J Genet Couns 2009;18:13-27
4) Zbuk KM et al. Nat Clin Pract Gastroenterol Hepatol 2007;4:492-502
5) Starink TM et al. Clin Genet 1986;29:222-223
6) Brownstein MH et al. Cancer 1987;41:2393-2398
7) Black D et al. Gynecol Oncol 2005;96:21-24

検査の概要

発端者向け検査

検査項目
検体量
保存条件
所要日数
検査方法
PTEN
スクリーニング
全血2 mL 冷蔵 21~22日 SBS法およびMLPA法
PTEN遺伝子の全エクソンおよびエクソン-イントロン境界領域の塩基配列を解析します。
また、あわせてMLPA法によりTP53遺伝子のエクソンレベルの比較的大きな欠失や重複を解析します。
追加TPTEN
スクリーニング
- - 21~22日 SBS法およびMLPA法
他の遺伝学的検査(BRCA1/2遺伝子検査など)で変異が検出されなかった場合に、追加でご依頼いただくための項目です。残存検体を用いることが可能ですので、保存状況についてはお問い合わせください。

*SBS(Sequencing by Synthesis)法
フローセル上に形成したクラスターをテンプレートとし、4種類の蛍光標識ヌクレオチドを用いて同時並行に1塩基ずつ合成し配列を決定する方法です。

血縁者向け検査

検査項目
検体量
保存条件
所要日数
検査方法
PTEN
シングルサイト
全血2 mL 冷蔵 14~15日 サンガー法またはMLPA法
発端者で検出された変異と同じ変異の有無を調べます。
ご依頼の際には、発端者で検出された変異の情報を必ずご提示ください。

家族性腫瘍遺伝子検査の受託について

弊社は、臨床検査として行われる家族性腫瘍関連の遺伝学的検査を受託するにあたって、日本衛生検査所協会「遺伝学的検査受託に関する倫理指針」を遵守します。また、厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」、日本医学会「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン」および日本家族性腫瘍学会「家族性腫瘍における遺伝子診断の研究とこれを応用した診療に関するガイドライン」に沿って同遺伝学的検査が実施されることを基本としています。同遺伝学的検査の受託にあたっては、ご依頼になる医療機関に必要な体制の整備をお願いしています。詳細は、「家族性腫瘍遺伝子検査 受託実施指針」をご参照ください。

ページの先頭へ戻る